小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
あたしは、みんながゲームに楽しんでる目を盗んで、ひとりそっと体育館の外に出た。
時刻は12時。
どの方向の空を見上げても、どこにも雨雲は見当たらない。
良ちゃんの言っていた条件は、そう簡単には揃わないらしい。
唯一条件に合っていることと言えば、目撃者なしってことくらいだ。
「……キセキ、起こらなかったか」
ガジュマルの木の下で、晴天の空を見上げながらポツリと呟いた。
体育館からは、賑やかな笑い声と楽しい音楽が聞こえてくる。
正門の向こう側に少し見える海は、空と同じ色をしていてちょっと嫌味を感じる。
空も海も青々としていて、何一つあたしに協力してくれないんだ。
色気ゼロ、知能ゼロ、外見は下の下。
何の魅力もないあたしは、ジンクスの力を借りないとどうにもならないのに。
神様は、あたしの味方をしてくれなかった。