小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「もーっ!!
雨降れー!! ザーザー音立てて降ってみろー!!」
お腹に力を入れ、空に向かってひとり雨乞いをする。
無駄な行為だとわかっていながら、『雨降れー、雨降れー』とグンっと両手を広げた。
ある意味、目撃者がいないことを願いながら。
すると――…
「……え?」
いきなり。
本当にいきなり、音を立てて上からたくさんの雫が落ちてきた。
空はめっちゃ晴れてるのに、ガジュマルの木の葉が、雫に打たれコクンコクンと細かく頷いている。
サーっと軽い音を立てて地面を濡らしていく雨。
ポカンと空いた口が塞がらなかった。
雨乞い……利いたの?
神様が、力を貸してくれたの?
口を開けたまま口角を上げる。
こんなにいい天気なのに、雨が降り出すなんて。
キセキだ……
キセキが起こったんだ!!