小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
カバっと勢いよく上半身を起こした海は、ギロリと1位を取った梓ちゃんを睨みつける。
でも、梓ちゃんはこちらのことなんて全く気にせず、水分補給をしにガジュマルの近くの水道に歩いて行った。
敵対心むき出しの目で、ずっと梓ちゃんの背中を追う海。
「まさか海が梓ちゃんに負けるとはね?」
良ちゃんはどこか嬉しそうだ。
時々、良ちゃんは小悪魔っぽくなる。
可愛い顔をして、実は一番ブラックで隠れSなんだと思う。
「油断してっからだよ」
クールな声が、海の潮の匂いを運ぶ風に乗って、あたしの耳をかすめた。
見ると、太陽の陽ざしに目を細める圭が少し口角を上げている。