小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
階段を駆け下りて、靴箱の前でルナちゃんが立ち止まる。
激しく肩を震わせ、嗚咽を堪えながら。
あたしは、走って乱れた呼吸を整えながら、ルナちゃんの背中に近寄った。
「……ルナちゃん」
あたしが名前を呼ぶと、ルナちゃんの嗚咽が激しくなった。
「………」
ルナちゃんの肩に伸ばしかけた手を、そっと引っ込める。
ショック……だよね。
こんなことを突然知らされたら……
あたしでさえ頭が真っ白なんだから、好きな人が突然遠くに行くって聞いたら、辛くて耐えられないと思う。
「……ック」
ルナちゃんは苦しそうに息をしてつばを飲み込むと、『歌恋ちゃん……』と詰まる声であたしの名前を呼んで振り返った。
「神奈川、って……どのあたりかな……」
目が真っ赤だ。