小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「転校の日、どうしても教えてくれない気かな」
もう来月には受験が控えているっていうのに、海のせいで気持ちがモヤモヤして落ちつかない。
「まぁ、海の性格を考えると、そうかもね。
ルナちゃんにも言ってないみたいだし」
問題集を開いた良ちゃんも、言いながらちょっと悲しそうだった。
あたしも、シャーペンを握ってシュンと肩を落とす。
あたし達は、ずっと15人で過ごしてきた。
年齢関係なくみんなが仲が良かったけど、喧嘩をする時はとことん喧嘩した。
それでもすぐに仲直りしてずっと一緒にいれたのは、あたし達の絆が深いからだ。
閉校になって学校がなくなるってだけであたし達のショックは大きいのに、仲間がひとり遠くに転校しちゃうなんて。
あたし達も、もうすぐ島を出ちゃうのに……
ガシ――…
「いたっ!」
問題集に視線を落としながら考え込んでいると、突然、大きな手に頭が包まれた。
反動で一瞬ガクンと下がった頭を上げると、圭があたしの頭を鷲掴みにしていた。