小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「歌恋。
おまえにはそんなこと考えてる暇はないだろ」
「……そうだけど」
あたしは口を尖らせながらボソリと言う。
「海は、おまえらがそうなるって知ってるから、言わないだけじゃん」
圭があたしの頭から手を離すと、あたしの髪の毛はあちこちに暴れてボサボサになっていた。
「あいつなりの気づかいだよ」
圭が後ろ向きに手を振りながら教室から出ていく。
あたしは、圭の後ろ姿に目を向けてボサボサの髪の毛を手櫛で整えた。
海なりの、気づかいか……
ってか、あたしいつになったら圭に気持ちを伝えられるんだろう。
この前、ルナちゃんから勇気をもらったばかりなのに。
いざとなるとやっぱり怖くて、言えなくなってしまう。
あー、もう!
あたしの意気地なし!!
「あっ! 圭、もう帰るの?」