小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「歌恋。
おまえにはそんなこと考えてる暇はないだろ」


「……そうだけど」


あたしは口を尖らせながらボソリと言う。


「海は、おまえらがそうなるって知ってるから、言わないだけじゃん」


圭があたしの頭から手を離すと、あたしの髪の毛はあちこちに暴れてボサボサになっていた。


「あいつなりの気づかいだよ」


圭が後ろ向きに手を振りながら教室から出ていく。


あたしは、圭の後ろ姿に目を向けてボサボサの髪の毛を手櫛で整えた。


海なりの、気づかいか……


ってか、あたしいつになったら圭に気持ちを伝えられるんだろう。


この前、ルナちゃんから勇気をもらったばかりなのに。


いざとなるとやっぱり怖くて、言えなくなってしまう。


あー、もう!

あたしの意気地なし!!



「あっ! 圭、もう帰るの?」



< 292 / 495 >

この作品をシェア

pagetop