小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
廊下で、海の元気な声がする。
そして、その後に、シャッター音が廊下に響いた。
不意打ちで撮られたのだろう。
圭の大きなため息が教室まで聞こえ、あたしは良ちゃんと目を見合わせた。
「来るね」
「来るだろうね」
海は絶対、カメラを持ってあたし達の教室に入ってくると良ちゃんと予想する。
「はい、受験生のお二人さん。
毎日毎日ご苦労さまです」
ほらね。
パシャリ――。
廊下側の窓をガラガラと開け、手をグンと前に伸ばしてあたしと良ちゃんをカメラに収める海。
「歌恋ちゃん、ここここ!」
海はあたしの顔を見て、自分の眉間を人差し指で触る。
あたしも海の真似をして眉間を人差し指で触ってみると、3段になったシワが深くついていた。
「老婆みたいになってるよ」