小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭は、ごみ袋を左手に提げ、右手をポケットに入れ簡単に歩いていく。
あたしには、両手で持っても精いっぱいの重さだったのに……
圭の後ろ姿が、かっこよくて、かっこよくて、また見惚れてしまった。
どうしてこんなに、紺色のダサいジャージが似合うんだろうとか、どうしてこんなにクールな表情が様になるんだろうとか、ポーっと立ち尽くしたまま幸せに浸った。
すると、圭がクルリとあたしを振り返り、片方の眉を上げる。
「手伝ってやってんだから、早く来いよ」
圭の声で、プツンと幸せのピンク色の雲が薄れていき、現実に魂が返ってくる。
「ここに置いて行くからな」
圭が不機嫌な表情でごみ袋を下ろそうとする。
あたしはハっとして足元のごみ袋を持ちあげ、圭の元に走る。