小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
不器用な海の手紙は、みんなの心に染み渡った。
海の残したデジカメをみんなで覗き込むと、いつ撮ったのかわからない写真がたくさん映っていた。
殆どが隠し撮りだ。
これ、犯罪の域じゃん。
机に伏せて眠る横顔を撮っていたり、友達同士楽しそうに話してるところを教室の窓からそっと撮っていたり。
海のバカ……キモいよ。
キモくて、撮られる度に怒って海を追いかけまわしてたのに。
こんなに……カメラバカの海に泣かされるなんて。
あたし達は全員で目を見合わせ、走って教室を走り出た。
誰も何も言わなくても、みんなが向かおうとしている場所はわかる。
もしかしたら、まだ出航していないかもしれない。
不器用な手紙と“宝”だけを残した海に、最後に会えるかもしれない。
あたし達は、14人で正門を出て全力で走った。