小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「そりゃ、してるよ。
いくらバカでも、受験まで日にちがないことくらい知ってるし」
ブスっと口を尖らせると、圭はハっと白い歯を見せて笑った。
「でも、どうして突然ウチに来たの?
アポとってくんなきゃ困るんだよね」
あたしは、机の上をキレイに片付けながら言う。
「“アポ”?
おまえには似合わないよ、歌恋」
クククっと、圭が肩を震わせた。
笑いを必死で堪える圭を見上げて口の端をクイっと上げると、圭は呼吸を整える為に大きく息を吐いた。
そして、優しい表情であたしを見下ろす。
「俺はただ、おまえに合格してほしくて来たんだ」
……圭。
「俺にしてやれることって、これくらいしかないから」
圭の口角が上がる。