小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「おまえな、少しは俺らと張り合おうと思わないのかよ」
なんという愚問。
「思うわけないじゃん。思ったところで無駄だってちゃんとわかってるから」
ツンと顎を突き出し悪態をつく。
「っとに……。おまえらしいよ、歌恋」
ドックン――。
咄嗟に、圭から目を逸らした。
このまま圭を見続けたら、心臓が破裂してあたしは死んでしまう。
小さな頃から一緒にいて何度も圭から“歌恋”と呼ばれているのに、どうしてだろう。
名前を呼ばれるだけで、心臓が暴走してしまう。
「お、大きなお世話」
バシンと、圭の腕を叩く。
あたしが叩いてもよろけることのない圭は、少し腕を押さえて涼しく笑っていた。