小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「幼なじみから脱出」
圭は言った後に、少し顔を赤らめてニッコリ笑った。
……幼なじみ脱出。
幼なじみを脱出して、圭からキスしてきたってことは……
「え……
圭って、あたしのことが好きだったの……?」
ポカンとしたまま圭に聞くと、急に圭の頬の赤さが増した。
珍しく、耳まで真っ赤に染まっていて。
あたしからサッと目を逸らすと、圭は手の甲で顔を隠した。
「おまえ、なかなか気づかないから焦るわ」
「……え?」
「毎日毎日良久と一緒にいて、全然俺の自転車の後ろには乗らないし」
け、圭……?
「良久の前では笑うのに、俺の前では笑わなかったり」
うん……
だって、圭の前では意識し過ぎて普通ではいられなかったから……
圭は、顔の前から手の甲を退かし、まだ赤みの残る顔であたしの方を向く。
「受験と戦うおまえに、少しでも安心してもらおうと思って、今日決心してここまで来たけど」
「………」