小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「……圭」
「黙れ」
圭の声が、耳元でかすれて聞こえる。
「俺を不安がらせた罰だ。
もう少しこのまま耐えろ」
そう言って、圭はあたしに回す手の力を強めた。
カァっと熱を持って行く顔。
真冬なのに、2人の体温は物凄く高くて、手に変な汗を握る。
窒息死しそうなくらい、圭の胸に顔を押し付けられて。
苦しいけど、とても幸せだった。
夢じゃ、ないよね。
受験という悪夢を見過ぎて、あたしの頭がおかしくなったわけじゃないよね?
これは、きちんと現実で。
幼なじみから、“恋人”に関係が変わった、歴史的瞬間なんだよね?
圭が、そっとあたしから体を離した。
上目づかいで圭を見ると、また、圭の顔があたしに近づいてきた。
反射的にゆっくりと目を閉じる。
そして、再び触れ合った温かい唇。
さっきよりも長く
想いの通じ合ったキスだった。