小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


圭は、朝日に眩しそうに目を細め、あたしを見上げた。


圭がひとりであたしを迎えにくるのは、良ちゃんが風邪をひいて学校を休んだ日以来だ。


こうやって圭がひとりで来たってことは、あたし達の“関係”が変わった証拠ってことだよね?


よかった。

あたしの妄想なんかじゃなくて。


あたしはドンガラガッシャンと物音を立てて、階段を駆け降りた。


リビングからは、このあたしの懲りない行動に、お母さんが呆れて無言で見ている。


幽霊みたいで、怖いんですけど……


「いって~きまぁす!!」


あたしはお母さんにガミガミ言われる前に家を出て、門の前で自転車にまたがっている圭を見て一呼吸する。


「今日はおばさん静かだったな」


緊張してるあたしとは対照的に、朝から嫌味を言ってくる圭。


あたしは肩をすくめ、『もう諦めてるんだろうね』と苦笑した。



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