小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「おめでとう!」
学校に着くと、みんなの第一声は『おはよう』ではなくて『おめでとう』だった。
何を意味するのかはすぐにわかったけど、どこから情報が回ったんだろう。
あたしと圭が付き合いだしたことは、まだ誰にも言っていないのに。
「良久か」
自転車置き場に自転車を収めた圭が、ボソリと呟いた。
ああ……
良ちゃんね……
「圭、良ちゃんにいつ話したの?
受験の時は、良ちゃんあたしに何も言わなかったよ?」
あたしが聞くと、圭は『……ああ』と少し言いにくそうに首の後ろをかいてから『昨日』と言った。
「ねぇねぇ、どっちから告白したの?
やっぱり、歌恋ちゃん?」
自転車置き場から靴箱までを歩きながら、ユリちゃんがあたしにピッタリくっついて目をキラキラ輝かせる。
「あ、いや、それは、圭が……」