小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
ニコニコ笑いながら上履きに履き替え、その表情を保ったままあたしを見上げた。
「今日はひとりで最高の登校だったなー。
後ろで騒ぐ人もいないし、自転車は軽いし。
めっちゃ早く走れたよー」
「………」
良ちゃん……
寂しかったんだね。
表情と声が全然合ってないよ。
「ごめんね、良ちゃん。
寂しかった?」
あたしが聞くと、良ちゃんはニコニコと笑顔のまま『全然?』と言った。
ああ……
相当寂しくて、感情がマヒしてるんだ。
あたし達は、みんなの冷やかしを受けながら教室まで歩いた。
チャイムが鳴る直前に教室に入ると、今までニコニコ笑っていた良ちゃんが急に真顔に戻った。
良ちゃんは、静かに椅子をひいて座ると、大きなため息をついてあたしと圭を見上げる。