小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「2人とも、よかったね」
良ちゃんが少しだけ微笑んだ。
あたしは何だか恥ずかしくなって、圭をチラっと見てから小さくなる。
「……祝ってやるべき、なんだよね」
「え?」
良ちゃんの小さな呟きは、学校中に響き渡るチャイムにかき消されてよく聞こえなかった。
「ううん。なんでもない。
始業式、体育館に向かわなきゃね」
ニコって笑った良ちゃんは、スクールバックを机の横に掛けると席から立ち上がり廊下に向かう。
「良久」
ドアの手前で圭に呼ばれた良ちゃんが、クルリと振り返る。
「良久。
ごめんな」
……圭?
あたしは眉をひそめて、圭と良ちゃんを交互に見る。
微かだけど、良ちゃんの眉間にも力が入ったような気がした。
「何に謝ってるの?」