小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


良ちゃんの眉間にシワが寄り、ジワジワと涙が浮かんでいく。


良ちゃんは圭の腕から逃げ出すと、サっと涙を制服の袖で拭った。


「急に何言い出すんだよ、圭!
思わず泣いちゃったじゃん!」


涙を拭うフリをして顔を隠した良ちゃんだったけど、声が何だか嬉しそうだった。


「何照れてんだよ、相棒」


「照れてないよ、相棒」


……相棒。


あたしは、“相棒”と呼び合う2人が好きだ。


性格も体格も違う2人が、ずっと一緒にいて築き上げてきた友情。


女のあたしには入ることのできない2人の空気感が好き。


見ていて安心するし、羨ましすぎて嫉妬もする。


「あ~あ。
なんか悩み過ぎてちょっと損した気分」


「悩み?
良ちゃん、なんか悩んでたの?」


あたしが聞くと、良ちゃんはイラっとしたように片方の眉を下げてあたしを見てきた。


「ほんっと、鈍感すぎるんだよ、歌恋は!!」



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