小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「歌恋」
不意に、さっきまで体育館で響いていた高めの声で呼ばれ、あたしは微笑みながら振り向いた。
「良ちゃん。
どうしたの?」
「う~ん。
ちょっと休憩っ」
グーッと、空へ向かって伸びをしながら答えた良ちゃん。
寒さで、鼻のてっぺんが赤くなっている。
「モザイクアート、かなり難しいね」
あたしが苦笑すると、良ちゃんは首をグルっと回してからあたしに顔を向けた。
「まぁ、難しいなりにやりがいは感じるけどね」
「確かに」
2人で笑い合う。
「……それ、圭からもらったんでしょ?」
良ちゃんの視線が、あたしの右手に収まるビンに向いた。
「ああ、これ?
うん。圭がね、あたしの為にわざわざ集めてくれたの」
「小さい頃はめんどくさいとか言って、そんなこと絶対しなかったのにね。
成長だよね」
と、良ちゃんがクスクス笑う。