小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「全然気づかなかったでしょ」
あたしは呆然として、細かく頷く。
「歌恋は究極の鈍感だからね~。
まぁ、僕はそのおかげで助かってたんだけど……」
良ちゃんは小さく笑って、星砂の入ったビンをあたしの手にしっかり持たせた。
たまに、良ちゃんは辛そうに笑う時がある。
良ちゃんが本当に心から笑ってるかそうでないかなんて、良ちゃんの目を見ればわかる。
泣きそうな目で笑う時が、何だか最近多い気がして……
「さっ、体育館に戻らなきゃ。
リーダーの僕がいなきゃ、作業は難航するでしょ?」
ほら、今だって何かを我慢してる。
「あれ?
“いつリーダーになったんだよ!!”って、突っ込まないの?」
辛い時、良ちゃんは少し早口になって眉間にシワが寄るから。
頑張って隠そうとしてるみたいだけど、幼なじみの目はごまかせないよ……