小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
目の前のモザイクアートのように、力強く。
突然、圭がズボンのポケットから携帯を取り出し、誰かに電話をかけ出した。
携帯を耳に当てるのではなく顔の前に持ってきているから、きっとテレビ電話だろう。
『もしもし~?
なんでテレビ電話~?』
圭の携帯から、懐かしい声が漏れてきた。
不思議そうに笑う海が、小さく圭の画面に映し出されている。
海は紺色のブレザーに赤のネクタイを緩くしめていて、見るからに都会の学生って感じだった。
あたし達は、携帯の画面に収まるように身を寄せ合い、久しぶりに会う海に思い思いに声をかける。
『みんな、相変わらず元気そうで何より』
海も、こちらに手を振りながらみんなの想いに答えていた。
『ちょっとおまに見せたいものがあってさ』
圭が言うと、海は『なになに?』と、笑う。
急にみんな緊張した面持ちになり、目配りをしながら圭から遠ざかる。
『え~? なになに?
みんな改まっちゃってどうしたの?』