小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「明日、卒業だな」


圭の小さな声が、波音に流されていく。


あたしは、海を眺めてただ頷いた。


「まだまだって思ってたけど、あっという間に時間が過ぎてちょっとビビってる」


圭が笑ったので、あたしも一緒になって笑う。


「歌恋」


圭があたしを見下ろす。


冷たい潮風に吹かれた圭の茶髪がユラユラと揺れ、さっきよりも鼻の赤みが増していた。


あたしは自分の首から赤いマフラーを外し、半分を圭の首に巻き付ける。


その途中。


不意に圭に手首を掴まれ、あたしはマフラーを巻く手を止めた。


圭の目が、あたしの目から唇に下りてくる。


あたしも、圭の唇を見て、そっと目を閉じた。


柔らかくて、少し冷たい圭の唇。


しばらく唇を重ね合い、ゆっくり顔を離した。


キスをした後の、圭の色っぽい表情に、荒ぶる心臓がおさまらなかった。


「おまえ。
その顔、反則」



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