小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「好きだよ、歌恋」


もう、我慢が出来なかった。


涙が、ポロポロ頬に伝っていく。


「知ってるよ……バカ圭」


嗚咽をこぼしながら、可愛くない言葉で返した。


圭は小さく笑い声をこぼして、あたしの頭を引きよせた。


圭の胸に、顔を強く押し付けられる。


あたしは、ギュっと圭の背中に手を回し抱きつく。


「好きだよ、圭」


涙で震える声を抑えながら言うと、圭はあたしのポンポンと撫で


「知ってるよ、バカ歌恋」


と、圭も少し声を震わせた。


好きな人と離れるのはすごく辛い。


だけど、今だけだ。


今だけ少し我慢すれば、いつかまたひとつになれる。


圭があたしの肩を押して体を離し、あたしの頬に流れる涙を手で拭ってくれた。


圭の冷たい手が、泣いて熱を帯びた頬を冷やしていってくれる。


2人、防波堤の上で額をこすり合わせ、間近で目を見合う。


そして、再び唇を合わせた。


別れを惜しみ、何度も何度も……



お互いの心にある寂しさを、ごまかしながら。





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