小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
3月1日。
第83回卒業式が行われた。
あたし達3人は、この学校最後の卒業生。
中学から6年間過ごしたこの巣から、旅立ちます。
卒業式と閉校式を行う今日は、あたし達家族だけではなく過去の卒業生も閉校式を見守ろうと集まってくれた。
いつもはガラガラの体育館が、約80名程の人で埋まっている。
あたしは、圭と良ちゃんと一緒に体育館の前で入場の合図を待った。
胸元に付けた小さな花に手を当て、静かに目を閉じる。
トクントクンと、ゆっくり動く鼓動。
中学の入学式にも同じことをしたけど、その時はあり得ないほど緊張していて心臓の動きが速かった。
まだ幼かったあたし達は、6年経って少しは成長したかな。
輝く未来を夢見て迎えた中学の入学式と、これから進む新たな世界への旅立ちへ心を躍らせる高校の卒業式。
どちらの時も、輝く物を見ようとしている。
悲しい別れでもあるけど、新たなステップへの大切な踏み台だ。