小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
でも、1年なんてあっという間。
そうでしょ?
都会の忙しい中で生活してたら、時間の感覚なんてなくなる。
バイトしてお金をためて、夏休みにはこっちに帰ってこようと思ってるし。
「圭」
あたしが呼ぶと、圭は空からあたしに視線を落とした。
すかさず、あたしは圭の唇に自分の唇を合わせる。
グッと目を丸めた圭は、パチパチ瞬きを繰り返し目を泳がせた。
「バっ……やられた」
圭は膝に顔を埋めて、小さくなった。
横髪から少し見える圭の耳が、赤くなっている。
「圭」
「ん?」
圭は顔を膝に埋めたまま返事をした。
「出発の日、見送りこなくていいからね」
「………」
まだ、顔は埋めたまま。
「圭の泣き顔、見たくないから」
あたしが言うと、圭は俯いたままハっと笑った。
「圭の泣き顔見たら、あたし、決心が鈍るから」
「………」