小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭の弱い姿を見たら、あたしは圭から離れられなくなる。
愛おしくて愛おしくて、たまらなくなるから。
クールなままの圭でいてくれなくちゃ……
「じゃあ……
先に家入ってくんない?」
……圭。
圭の肩が微かだけど震えている。
「おまえに安心して行ってもらいたいから……早く家に入って」
かすれる圭の声に、あたしは目元に力を入れ唇を噛みしめた。
圭があたしに泣き顔を見せまいと我慢しているのに、ここであたしが泣くわけにはいかない。
あたしはスクっと立ち上がり、しゃがみ込んで膝に顔を埋める圭を見下ろした。
どうしよう……
離れたくない。
圭を、抱きしめたい……
何度も何度も覚悟してきたけど……
やっぱり、無理だよ。
離れられないくらい、好きだから……
ずっとずっと一緒にいたい……
だけど、これは自分で決めた道だ。
苦しいけど、今は離れなくちゃいけないんだ。
あたしは、圭の小さくなる背中を見て、唇をかみしめた。
いつか……
いつか、また会おうね。
あたしは、圭の丸くなる背中に語りかけ、急いで家の中に入った。