小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭は自転車を投げ捨てるように下りると、走ってみんなの輪の中に入った。
息が途切れ切れの圭は膝に手を当てすぐに、体勢を整える。
その間にも、どんどん港との距離が離れていった。
「歌恋っ、良久っ!!
ちゃんと待ってろよっ!!」
「圭のアホっ!!
待ってるに決まってんだろ!! それから、来るのが遅いんだよ~!!」
更に身を乗り出した良ちゃんが、圭に向かって叫ぶ。
目に、大粒の涙を溜めながら。
「歌恋は、責任持って僕が守るからっ!!
圭は安心して僕らを追う準備してよねっ!!」
良ちゃんに言われ、圭がグっと上を向いた。
きっと、涙を堪えているんだ。
「わかったか、相棒っ!!」
返事をしない圭に、良ちゃんが一発吠える。
すると、圭は辛そうに顔を歪ませながら、親指をピンと立て空に掲げた。
あたしは、手を振るだけでもう声は出せなかった。
嗚咽を堪えるせいで、喉がかれたから。