小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
新生活
『もしもし、圭?』
部屋の片づけの途中、段ボールを両手に抱え肩に携帯を挟んで圭からの電話に出た。
よいしょ。と、力みながら段ボールを部屋の隅に置き、携帯を右手に持ちかえる。
『片付け、大変そうだね』
『うん。
やってもやっても、全然終わらないの』
片付けで埃っぽくなった空気を入れ替えようと窓を開けた時、窓際に置いた星砂のビンが目に入った。
頬笑みながらビンを手に取る。
圭の愛がたくさん詰まった、星砂のビン。
フフ。幸せ。
大学に合格し、春から福岡で1人暮らしをすることになったあたしは、大学の近くにアパートを借りた。
1DKの小さな部屋だ。
ひとり暮らしには十分な広さなんだけど、今は引っ越しの片付けが全く進まず部屋の半分を段ボールが占めてる状態で、足の踏み場もない。
『今日、ちょっと曇ってるね』
窓から空を見上げ、電話の向こうの圭に言う。
『こっちはめちゃくちゃいい天気だぞ。
眩しすぎて空も見上げられないくらい』
『そうなの?
もう、すでに暑そうだね』
『おお。
今、タンクトップだしね』