小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
良ちゃんがいれば、こんなに教室が静かになることはないのに。
ダメだな、あたし。
圭とふたりっきりになると、何もできなくなる……。
ようやく放課後になり、今朝と同じように圭の自転車の後ろに乗る。
風邪で休んだ良ちゃんの様子を見に行く為、朝通ったゴマ畑の道ではなく海沿いの道を通って帰り、途中でスーパーに立ち寄った。
「バナナ買うの?」
スーパーに入って真っ先にバナナを手に取ると、圭が横から覗き込んできた。
見上げると、圭は「何で?」と言うように眉間にシワを寄せている。
「ほら、良ちゃんバナナ好きでしょ? もし食欲なかったとしても、好きなものなら食べられるかなって」
あたしが言うと、一瞬圭の眉間がピクリと動いた。