小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「でも、良ちゃんなら大丈夫なのに」
「はぁ?
大丈夫? 何を根拠にそんなこと言ってるの?」
「だって、良ちゃんだもん」
答えになっていない答えに、良ちゃんの眉間に深くシワが寄る。
「歌恋!
僕だって男だよ? わかってる?」
……男。
良ちゃんが男って、ちょっと違和感がある。
一緒にいすぎて、良ちゃんはそういう感覚じゃないから。
「簡単に男の家に泊まるって言うヤツには、昼飯やらない。
返せ僕の唐揚げ!」
あたし用に買ってきてくれた唐揚げを、袋ごと奪った良ちゃん。
それを、あたしは『ダメ!』と奪い返す。
18になっても変わらないあたしと良ちゃんのこのやり取り。
まだまだ子供っぽいあたし達を、ベランダに止まったハトが首を傾げながら見ていた。