小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
リサちゃんが、パチンと両手を合わせてギュッと目を閉じた。
「リサ。
おまえ最近必死だな」
あたしの右隣に座っていた武内くんが、呆れたように話に入ってくる。
黒ぶち眼鏡の真ん中をクイっと人差し指で上げ、片方の眉を下げた。
「拓真は黙ってて!
ね、お願い歌恋! 一度でいいからしゃべってみたいの」
再び両手を合わせたリサちゃんは、半泣きになってあたしの腕を掴んだ。
「じゃあ、今日学食行ってみる?
多分今日はいると思うけど」
あたしが言うと、リサちゃんの小さな顔にパアっと笑顔の花が咲いた。
「赫も大変だな」
武内くんの口角がフっと上がる。
あたしは肩をすくめて答え、ノートにシャーペンを走らせた。
武内くんとリサちゃんは高校の頃からの友達らしい。