小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
そうだよね……
バイトなんて今まで一度もしたことないし。
お酒がらみは、やっぱりちょっと怖いかな……?
「大丈夫でしょ。
俺と同じ日に入れてもらえばいつでもフォロー出来るし。
変な客いたら、俺を呼んでくれればすぐに対処するし」
何にも問題ないという風に言う武内くん。
不安だけど、武内くんと一緒なら、大丈夫、かな……?
何かしらバイトをしないと、島へ帰るお金がないからなぁ。
夏には圭に会いに帰りたいし、電話代だってかかるし。
ひとりで別なバイトをするよりは、友達と同じところでする方が安心はできるよね。
「……やってみようかな」
「はっ!?」
あたしが呟くと、良ちゃんが険しい顔になった。
「本気で言ってるの?」
「うん。
だって、島に帰る為にお金が必要でしょ?」
「そうだけど!
でも、居酒屋なんてダメだよ!絶対ダメ!」
ガタン――っ!!
大声で言って、その場に立ちあがった良ちゃん。
学食中に椅子がずれる音が響き渡って、何人かの目がこちらに向いた。
まだ何か言いたげに口を動かす良ちゃんだったけど、周りからの視線に渋々と腰を下ろす。