小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「プハっ!」
武内くんが、口元を手の甲で隠して吹きだした。
黒ぶち眼鏡の中心を指で押し、表情を和らげる。
「赫、なんか妹みたいだな」
そう言って、またプっと笑う武内くん。
……妹って。
まぁ、良ちゃんからしたら、そうなのかもしれないけど。
手のかかる妹。
午後から講義のある良ちゃんは、友達4人と席を立った。
良ちゃんは何だかとても不機嫌。
良ちゃんが怒るとすぐに目にでるからわかるんだよね。
すごく鋭い目になるから。
午前中で講義が終わったあたし達は学食で別れた。
大学を出てアパートに向かっていると、手に持つ携帯が振動した。
【受信:良ちゃん】
さっきのアイツ、名前なんて言ったっけ?
マジでアイツと同じとこでバイトする気?
そんなにあたしがバイトすることが心配なのかな。
そりゃ、あたしだって不安はあるけど、でも友達と一緒だし大丈夫だよ。