小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
バイト
『圭、あたしね、バイト始めようと思うの』
『バイト?』
夜、携帯を肩に挟んでペディキュアを塗りながら圭に電話をかけた。
『夏は絶対そっちに帰りたいし、普通に生活費も稼がなきゃだし』
『おまえ、バイトなんかして大丈夫なの?
ただでさえ勉強ついて行くの大変なのに』
電話の向こうで、圭の笑い声が聞こえる。
『大丈夫だよ。
行こうと思ってるバイト先もね、友達がいるところなの。
全然知らない人達と働くより知り合いがいた方が安心でしょ?』
『まぁ……そうだけど』
圭の返事に間があった。
やっぱり、圭も心配してるんだ。
『歌恋。
金のことなら心配しなくていいよ。俺がそっちに行くし』
『それじゃダメなの!!
島に帰って、みんなに会いたいし』
『あんまムリすんなよ。
俺、おまえの近くにいないし、守ってやれないんだから』