小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
ポン――…
今度は優しく頭に手を置かれた。
「その為に同じバイトに誘ったんだから」
……そうだよね。
武内くんは、あたしの為にここを紹介してくれたんだから。
いつまでも不安がってちゃダメか……
バイトをするって決めたのはあたしなんだから。
「ありがと、武内くん」
強張っていた表情を少し緩めて武内くんを見上げると、武内くんは急に目を丸めて、黒ぶち眼鏡の中心を指でクイっと上げあたしから目を逸らした。
夜6時に開店したお店は、開店と同時にたくさんのお客さんで賑わった。
大学の近くということもあって、あたし達と同じくらいの人達も多い。
慣れない注文を取りながら、両手にひとつずつビールのジョッキを持って次々と厨房から運び出す。
でも、武内くんは片手に3つずつジョッキを抱え、一気に6つを運んでいた。
……すごいな。
少しずつ運ぶだけでもかなり体力使うのに、一気に6つなんて……