小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「失敗もなくよくやってたね」


お店の裏地から表に出て、武内くんと肩を並べて歩く。


あたしは武内くんからもらったコーヒーを飲んで、乾ききった口を潤わせた。


「めっちゃ必死だったよ。
お酒がまわった人の言ってることって、聞き取るの案外大変だね」


「ろれつが回らない上に、みんな自由人になるからな」


武内くんがハハっと笑った。


あたしは鞄の中から携帯を取り出し、画面を開く。


「あ!
しまった、メール来てるし」


圭から2通のメールが来ていた。


「う~、2時間前かぁ……
圭、怒ったかなぁ……」


あたしは慌てて、『ごめん、今までバイトだった』と圭に返信する。


「彼氏?」


「え?
ああ、うん。そう」


“彼氏”って言う言葉に慣れていなくて、不意打ちで言われるとちょっと照れてしまう。


照れながら答えると、武内くんはコーヒーを飲んで夜空を見上げた。


「付き合ってどのくらいになるの?」



< 430 / 495 >

この作品をシェア

pagetop