小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「失敗もなくよくやってたね」
お店の裏地から表に出て、武内くんと肩を並べて歩く。
あたしは武内くんからもらったコーヒーを飲んで、乾ききった口を潤わせた。
「めっちゃ必死だったよ。
お酒がまわった人の言ってることって、聞き取るの案外大変だね」
「ろれつが回らない上に、みんな自由人になるからな」
武内くんがハハっと笑った。
あたしは鞄の中から携帯を取り出し、画面を開く。
「あ!
しまった、メール来てるし」
圭から2通のメールが来ていた。
「う~、2時間前かぁ……
圭、怒ったかなぁ……」
あたしは慌てて、『ごめん、今までバイトだった』と圭に返信する。
「彼氏?」
「え?
ああ、うん。そう」
“彼氏”って言う言葉に慣れていなくて、不意打ちで言われるとちょっと照れてしまう。
照れながら答えると、武内くんはコーヒーを飲んで夜空を見上げた。
「付き合ってどのくらいになるの?」