小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
武内くんの言葉に重なって、少し高めの声が聞こえた。
暗闇の向こうを目を凝らして見ると、段々近づいてくる良ちゃんが見えた。
短パンにTシャツという、ラフな格好だ。
「どうしたの?良ちゃん」
「歌恋のアパートを見たらまだ電気がついてなかったから、心配になって様子を見に来たんだ」
良ちゃんはそう言って、あたしの隣にいる武内くんを不機嫌そうに見上げる。
「歌恋を送ってくれて、どうも」
素っ気なく言って軽く頭を下げると、あたしの腕を掴んで引っ張った。
「え……ちょっ!」
良ちゃんに引っ張られながら、武内くんに目を向ける。
「武内くん、ごめんね!
送ってくれてありがとう」
「いや、いいよ」
本当は、良ちゃんの冷たい態度に少しムっとしたんだろうけど、武内くんは肩をすくめて笑顔で手を振ってくれた。
「あっ! 武内くん!」
あたしは良ちゃんの力に抵抗して一旦足を止める。
「さっき、何を言おうとしたの?」
良ちゃんの声に重なって、遮られてしまった武内くんの言葉。
ちょっと真剣な感じだったけど、何だったんだろう……