小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
あたしが苦笑すると、良ちゃんはムスっとして両手を頭から下ろし、あたしを睨みつけてきた。
そして、ムニュっとあたしの鼻をつまむ。
「歌恋は男を知らなすぎ」
あたしの鼻をグイっと引っ張りながら手を離し、あたしはヒリヒリする鼻を押さえた。
「いった……
男を知らないってどういうこと?」
涙目で良ちゃんを見上げる。
「ほんっと……小さな島の生活しか知らないからこうなるんだよね」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で良ちゃんが呟く。
「僕は気が気じゃないよ、歌恋」
良ちゃんはため息をつき、眉をハの字に垂らす。
「だから、どういう意味っ?」
「そのまんまの意味だよ」
そう言うと、良ちゃんはグイっとあたしに顔を近づけてきた。
あたしは反射的に、体を少しのけ反らせる。
「歌恋、ちょっとは警戒心持ちなよ」
間近で良ちゃんに言われ、あたしは細かく瞬きを繰り返した。
警戒心を持つ……?
誰に?
武内くん?
……なんで?