小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
頭の中に疑問だけが浮かんで、良ちゃんが先に歩き出しても体が動かなかった。
そんなあたしを、良ちゃんが振り返る。
「歌恋、はやく帰るよ」
「あ、うん。
待って!」
あたしは、小走りで良ちゃんを追いかけた。
わざわざ迎えに来てくれた良ちゃんと。
あたしの返信を見て色々悩む圭と。
ひとり帰っていった武内くん。
それぞれの想いに気づかなかったあたしは、史上最強のバカだ。
自分のことしか考えていなかったから。
あたしはただ、圭に会いたい一心だった。
だからバイトを始めたのに……
これが、圭との距離を離してしまうことになるなんて……
その日、あたしの返信に、圭からはメールが返ってこなかった。