小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「今日、やけに元気なかったけど、もしかして彼氏とケンカでもしたの?」
武内くんに言われ、あたしはテーブルを拭く手を止める。
……ケンカじゃない。
ケンカの方がまだいい。
謝れば仲直りが出来て、また笑い合えるんだから。
すれ違ってしまった時、どうしたらいいのかわからない……
「武内くんはさ、好きな人とかいないの?」
もし武内くんが、今のあたしと同じ経験をしたことがあるのなら、何かアドバイスがもらえるかもしれないと思った。
武内くんは、メニュー票やつまようじなどの容器を元の位置に戻している途中で、一瞬動きを止めた。
そして、フっと口角を上げると、一言『いるよ』と言って、また片付けの手を動かした。
「彼女?」
「いや?まだ、彼女じゃない」
……まだ?
「もしかして、武内くんも好きな人が遠くに行っちゃったとか?」
あたしが聞くと、武内くんはテキパキと手を動かしながらハハっと笑った。