小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「今日の暑さもハンパないね」
圭に言ったあたしの声が、前から吹く風に乗って後ろに流れて行く。
「おまえはまだいいだろ、ただ乗ってるだけなんだから」
前を向いたままの圭に言われ、何だか急に申し訳なくなって、唇を噛んで小さく頭を下げた。
右手を圭の肩から放して、少しでも涼しくなるように彼の右頬辺りを手であおいであげる。
すると圭は、顔をあたしに向け、プハっと目元にシワを作って笑った。
「それ、意味ねぇし」
ドックン……。
まるで銃で撃たれたみたいに、心臓がギュッと苦しくなった。
最近少し大人っぽくなった圭の笑顔に、瞬きができなくなるほどドキドキしてしまう。
圭は、放心状態で目を開けっ放しのあたしを見て、怪訝な表情になった。
「うわっ! 圭! ま、ま、前っ!!」