小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


そういう人を見つける……?


圭をやめて、他の人を探せって言ってるの?


「側にいれる分、すれ違いもなくなるし、寂しくもなくなる」


「………」


「それに」


武内くんはフっと表情を緩めると、あたしの眉間をグイっと押してきた。


「そんな眉間にシワを寄せて、辛い顔をしなくても済むだろ?」


あたしは、武内くんに押された眉間を手でさすった。


クッキリと、深いシワが残っている。


「赫の辛そうな顔、俺は見たくない」


ポン――…


武内くんはあたしの頭に優しく手を乗せると、テーブルから腰を上げ男子更衣室に入っていった。


その背中を見送り、手に持つ布巾に視線を落とした。


……辛い顔、か。


あたしは、何のためにバイトを始めた?


夏休みに、島に帰る為でしょ?


早く圭に会いたいから、ちょっと無理してバイトを始めたのに……



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