小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
腕をさすりながら良ちゃんを見ると、そこにはいつもの可愛らしい表情はなく、眉間に力を入れ本気で怒っていた。
あたしが黙り込むと、良ちゃんは大きなため息をつきイライラした口調で話し出した。
「歌恋さ、何のために圭と離れてこの大学に通ったわけ?」
「………」
「将来、圭と一緒にいたいからじゃないの?」
……そうだよ。
圭の描く未来に入りたかったから、必死で受験勉強も頑張ったし、しばらく遠恋をする覚悟も決めた。
時間が過ぎる度に恋しくなって、声を聞く度に会いたくなって。
また圭の温もりに包まれたいし、キスだってしたい。
だから、あたしになり頑張ってるんじゃん。
圭に会う為にバイトだって始めたし、バイトのせいで成績が落ちないように毎日死ぬほど勉強だってしてる。
正直、今は圭と時間を合わせるのは難しくて、圭との距離があいてしまってる。
だけど、それは夏休みまでの辛抱だと思って耐えてるんだ。
「僕も圭と連絡が途絶えてるから、今アイツが何を考えてこれからどうしようと思っているのかわからないけど」
良ちゃんは途中まで言って、少しだけ口調を和らげた。
「今のままだと、歌恋達、終わると思うよ」