小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
……ドックン。
心臓が、嫌な動きをした。
ザワザワと黒い物体が体の奥深くから湧き上がってくる。
今まで隠れていた“不安”が、良ちゃんの一言で一気に這い上がってきたんだ。
……終わる。
あたし自ら終わらせたも同然、だよね……
圭のあたしへの想い……少しずつ薄れていってるのかな……
ポン――…
良ちゃんの手が、優しくあたしの頭に置かれる。
涙を堪えながら良ちゃんを見上げると、もういつもの可愛い良ちゃんの表情に戻っていた。
「ごめん、歌恋、不安がらせたね」
グリグリと頭を撫でられ、どんどん髪が絡まっていく。
「ちょっと意地悪言い過ぎた。
歌恋、最近バイトも勉強も両立させて頑張ってるの、僕が一番よく知ってるのにさ」
「………」
「どれもこれも、圭の為だって」
良ちゃんに柔らかい口調で言われ、とうとう瞳から涙がこぼれ落ちてしまった。