小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「もしかして、もうチケット買っちゃった?」
「ううん。
まだ、買ってはないけど……」
良ちゃんと一緒に島に帰りたい。
せっかく立てた楽しみな計画が崩れ、心にモヤモヤとした黒い雲が広がった。
正直、バイトに入るのはイヤだ。
前もって休みを下さいと言っていた日だから……。
でも……
人手不足で店長が苦しんでいるのなら、入らざるを得ない。
辛抱が少し伸びるだけ。
バイトが落ち着けば、圭に会いに帰れる。
「仕方ないよね。
わかった。その後休みがもらえるんだったら、入るよ、バイト」
あたしが言うと、武内くんは顔の前で合わせていた両手を離し、安堵のため息をついた。
「ありがとう、赫!
マジで助かるよ」
あたしは笑って武内くんに答えたけど、でも、やっぱり気持ちが重かった。