小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
前方不注意走行のせいで、あたし達の前に電信柱が接近していた。
慌てて前を指差すと、キキーっと圭が急ブレーキをかけた。
「キャ……っ!!」
急に止まった反動で、圭の背中に体がぶつかり、超密着するあたし達。
またあたしの思考は停止。
パチパチと激しく瞬きを繰り返すと、圭が大きくあたしを振り返った。
「わり。大丈夫?」
「だだだだだ、大丈夫」
サッと圭から体を離し、通常の距離を保つ。
「びびび、ビックリしたね。もう! 圭! よそ見したらダメじゃん!!」
動揺していることを悟られないように、平常心を保って言った……つもり。
だけど、早口でカミカミだから、怪しいよね……。
「さ、さあ! 安全運転でお願いしますよ、運転手さん」
出発進行!と、前方を指差すと、圭は呆れたように笑いペダルをこぎ始めた。