小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「いらっしゃいませ~!」


もう、ウジウジ悩むのはやめた。


今はやるべきことを消化して、帰れる日を待つしかない。


焦ったって、時計の針が進む速度は変わらないんだから。


夏休みに入って、あたしは今まで以上にバイトに集中した。


良ちゃんは一足先に島に帰っちゃったし、ひとりの寂しさを紛らわす為には何かに集中しないと……


「ビールおひとつと、ファジーネーブルおひとつですね!
少々お待ち下さい!」


慣れてきたバイト。


緊張もなくなったし、最初はただただ怖かった接客も、今ではとても楽しめるようになった。


バイトの人手が足りない分、ホールや厨房を走りまわるのは正直キツイけど、武内くんがすぐにフォローしてくれるから、気持ちがすごく楽。


それに……

こうやってバタバタ動きまわっていた方が、気が紛れるし……


バイトをこなす度に、圭に会える日が近づいていると思うと、やる気も出てくる。


気持ちをしっかり持たなきゃね。


何のためにバイトを始めたのか。


圭に、会いに帰る為だもん。


待っててね、圭。

もう少ししたら、帰るから。




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