小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
突然、隣を歩いていた武内くんが立ち止まった。
住宅街の、街灯の下。
淡いオレンジ色に照らされた武内くんは、何だか少し悲しそうに見えた。
街灯の色のせい。
「俺さ、好きな子がいるんだ」
「………」
前に言ってたよね。
“まだ、彼女じゃない”って。
「その子には、彼氏がいてさ、どうやらめちゃくちゃラブラブみたいなんだ」
ハハっと笑った武内くんだったけど、その声が少し辛そうだった。
そりゃ、辛いに決まってる。
彼氏がいる子を好きになったなんて……
「彼氏がいる時点で俺には勝ち目はないけど、もしかしたらって変な期待を持って諦めきれなかった」
あたしは、武内くんの側に行ってそっと見上げる。
俯く武内くんの目元は、少し影になっている。
「気持ちを伝えるべきか、ずっと悩んでてさ」
武内くんは、人差指でこめかみをカリカリかいた。