小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「気持ち、あたしは伝えてもいいと思うよ」
「………」
あたしがそっと言うと、武内くんが顔を上げた。
目元の影が一気に消えて、二重の目がはっきり見える。
「その子に彼氏がいても、武内くんの気持ちはきちんとその子に伝えるべきだと思う」
「………」
「武内くんの、大切な気持ちだもん」
言ったあとに、自分の言葉が恥ずかしくなって武内くんから目を逸らした。
「あ、ほらっ!
あたし、今彼氏とすれ違ってるから、きちんと気持ちを伝え合うことって、すごく大切なんだなぁって、気づいたというか……」
早口で言って、どんどん語尾が小さくなっていく。
恋の話は、どうしても慣れない。
何だか照れ臭くなってきて、どんな顔をして話したらいいかわからなくなる。
さっきの武内くんのように、あたしもこめかみを人指し指でカリカリかいて、チラリと武内くんに目を向けた。
目が合って、また逸らす。
「気持ち……伝えていいかな」