小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
一気に頭が真っ白になった。
優しく背中に添えられる武内くんの手。
2人分の熱がひとつになり、暑さが増した。
「た、武内く……」
「好きだ」
武内くんの腕から逃げようともがいた瞬間、驚きの言葉が武内くんの口から出た。
ギュっと、抱きしめられる力が強くなる。
「好きだ、赫」
ちょ、え……?
好き……?
武内くんが、あたしを……?
「彼氏がいるって、最初で聞いてたけど、どんどん大きくなっていく想いを、止められなかった」
耳元で、武内くんの辛そうな声が聞こえる。
心臓が、痛いくらい速く動く。
突然のことで体が震え、息が苦しくなってきた。
「赫とできるだけ一緒にいたくてわざと同じバイトにって誘ったし、今回だって、バイトの人手不足を理由に使って、赫を引きとめた」
……武内くん。
「彼氏に、会わせたくなかったから……」
『ごめん』と、武内くんの声がかすれた。
「明日、どうしても帰らないとダメなの?」
「……え?」